写真;公式HP引用
三菱の新型マルチ指示計ME110Gシリーズは、iPhoneのNFC(近距離無線通信)機能を利用して、機器本体に触れずに設定ができる画期的なモデルです。
初心者の方でも迷わず設定できるよう、アプリの準備から書き込みまでの手順を分かりやすく解説します。
1. 事前準備:アプリのインストール
まず、お手持ちのiPhoneに専用アプリをインストールしてください。
- アプリ名: 「ME110G設定」
- 入手先: App Storeで「ME110G」と検索、またはApp Storeリンクからダウンロード。
- 対応端末: iPhoneのみ(AndroidやiPadには現在対応していません)。
2. iPhoneでの設定手順

ME110Gシリーズの最大のメリットは、「盤に取付ける前(無通電状態)」でも設定が可能な点です。
ステップ1:アプリで設定データを作成
- アプリを起動し、「新規作成」または「データ編集」を選択します。
- 計器の形名(例:ME110GR)を選択し、相線式、電圧、電流(CT比)などの必要項目を画面に従って入力します。
- ポイント: 取扱説明書をめくらなくても、アプリ上の選択肢を選ぶだけで直感的に進められます。
ステップ2:機器から読み出す(既存設定の確認)
もし、すでに動いている機器の設定を確認したい場合は、以下の操作を行います。
- アプリの「読み出し」ボタンをタップします。
- iPhoneの先端(カメラ付近)を、ME110G本体正面の液晶画面中央付近にかざします。
- 読み出しが完了すると、現在の設定値がiPhone画面に表示されます。
ステップ3:機器へ書き込む(設定の反映)
- アプリで作成・編集した設定画面で「書き込み」をタップします。
- 読み出し時と同様に、iPhoneをME110Gの正面にかざします。
- 「書き込み完了」と表示されれば成功です。
3. 初心者が知っておくべき「便利機能」

- 無通電設定: 箱から出したばかりの、配線すらしていない状態でも設定が書き込めます。現場に持ち込む前に事務所で事前設定ができるため、作業時間が大幅に短縮されます。
- 設定の保存と共有: 設定した内容はPDFやCSVとして保存し、メールで送信できます。報告書の作成や、別の作業者への引き継ぎが非常にスムーズです。
- ガイダンス表示: 万が一エラーが出た場合も、アプリが「どこを修正すべきか」を教えてくれます。
4. 参考リソース
より詳細な動きを確認したい場合は、以下の公式・公認動画が非常に参考になります。
「ダウンロード」タブから詳細な取扱説明書(PDF)が閲覧可能です。
YouTube(基本操作): 「徹底解説」三菱マルチメータ iPhoneを使った基本的な設定方法
宇賀神電機(株)協力の動画で、通電・無通電それぞれの書き込み手順が実機で解説されています。
公式カタログ・マニュアル: 三菱電機 FAサイト ME110G製品ページ

ME110Gシリーズの設定において、**CT比(変流器比)とVT比(計器用変圧器比)**の計算は、正確な電力量を計測するために最も重要なステップです。これらを間違えると、実際の使用量と表示値が大きくズレてしまいます。初心者の方でも計算ミスを防げるよう、具体例を挙げて解説します。
1. CT比(電流)の計算と設定
CT(変流器)は、大きな電流を安全な値(通常5A)に変換する機器です。
計算式
$$CT\text{比} = \frac{\text{一次側定格電流}}{\text{二次側定格電流}}$$
具体例
現場のCTが「100A / 5A」と記載されている場合:
- $100 \div 5 = 20$
- アプリの設定画面では、CT比に 「20」 を入力します。
2. VT比(電圧)の計算と設定
VT(計器用変圧器)は、高電圧を計測可能な低い電圧(通常110V)に変換する機器です。
※低圧(200Vなど)でVTを使用せず直接入力する場合は、VT比を 「1」 に設定します。
計算式
$$VT\text{比} = \frac{\text{一次側定格電圧}}{\text{二次側定格電圧}}$$
具体例
高圧受電設備などでVTが「6600V / 110V」の場合:
- $6600 \div 110 = 60$
- アプリの設定画面では、VT比に 「60」 を入力します。
3. アプリでの入力手順(初心者向けTips)
iPhoneアプリ「ME110G設定」を使用する場合、手計算をしなくても済む便利なモードがあります。
- **「形名設定」**でご使用のモデルを選択。
- **「基本設定」**をタップ。
- **「入力方式」**で、直接比率を入力するか、定格値を入力するかを選べます。
- 比率入力: 計算後の値(20や60)を入力。
- 定格入力: 「一次側:100A / 二次側:5A」のように銘板の値をそのまま入力(アプリが自動計算してくれます。ミスを防ぐならこちらがおすすめ!)
4. 注意点:ここだけはチェック!
- 相線式の確認: 「単相2線」「単相3線」「三相3線」など、実際の配線とアプリの設定が一致しているか必ず確認してください。
- 書き込みのタイミング: 設定を変更した後は、必ず機器にiPhoneをかざして**「書き込み」**動作を行ってください(保存しただけでは機器に反映されません)。
具体的な数値に基づいた設定例を、よくある**「低圧(工場やビル内)」と「高圧(受電設備)」**の2つのパターンで解説します。
お手元の機器の銘板(シール)に記載されている数値と照らし合わせてみてください。
ケースA:低圧回路(200V)の場合
ビルや工場の動力盤などで、VT(電圧変圧器)を使わずに直接電圧を取り込み、CT(100A)を通すパターンです。
| 項目 | 現場の機器の数値 | アプリへの設定値 |
| 相線式 | 三相3線式 | 3P3W |
| VT比 | なし(直接入力) | 1.0 |
| CT比 | 一次:100A / 二次:5A | 20.0 ($100 \div 5$) |
| 定格電圧 | 200V | 200V |
注意点: 直接電圧を入力する場合、VT比は必ず「1」にします。これを間違えると電圧値が何倍にも表示されてしまいます。
ケースB:高圧回路(6600V)の場合
キュービクルなどの受電点付近で、VTとCTを介して計測するパターンです。
| 項目 | 現場の機器の数値 | アプリへの設定値 |
| 相線式 | 三相3線式 | 3P3W |
| VT比 | 一次:6600V / 二次:110V | 60.0 ($6600 \div 110$) |
| CT比 | 一次:200A / 二次:5A | 40.0 ($200 \div 5$) |
| 定格電圧 | 110V (VTの二次側) | 110V |
アプリで設定する際のコツ
1. 「定格値入力」モードを活用する
ME110Gのアプリでは、計算が不安な人のために「一次側・二次側の数値をそのまま入れる」モードがあります。
- 手順: 設定画面で「CT比」を直接書くのではなく、**「一次側電流:200A」「二次側電流:5A」**と個別に入力すれば、アプリが自動で「40」という比率を算出してくれます。計算ミスを防ぐため、こちらを強くおすすめします。
2. フルスケール(最大表示)の確認
CT比を設定すると、液晶のバーグラフの最大値(フルスケール)が自動で決まります。
- 例:CT比が100A/5A(20倍)なら、バーグラフの右端は100Aになります。
- 現場の実際の負荷電流がこれを超えないか、アプリの画面上で確認してください。
設定後の最終確認
iPhoneでデータを書き込んだ後、本体の液晶画面で以下の2点を確認してください。
- **「V(電圧)」**が受電電圧と一致しているか(例:210V前後、または6600V前後)。
- **「A(電流)」**がクランプメータなどで測った実測値とほぼ同じか。

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